良い問いを一つ尋ねる · スモールグループ

小グループの聖書の学びを導く, 第4課. 読む ルカによる福音書 7:36-50. 一つの問いに三つも四つも詰め込むか、リーダーの頭にある模範解答だけを求める

中心聖句:ルカによる福音書 7:36-50

イエスがシモンに語ったことばは穏やかでした。「シモン、あなたに言うことがある」。続いて二人の借り手のたとえを語り、「このふたりのうちで、どちらが彼を多く愛するだろうか」と尋ね、シモン自身に答えさせた後で、「この女を見ないか」と問いました。**良い問いは、その人が自分の目で気づける所へ導きます。**

はじめに

聖書の学びを導く人の問いがうまくいかない時には、たいてい三つの問題があります。

一つ目は、一問の中に三つの問いを詰め込むことです。 「この箇所の背景は何ですか。著者は何を伝えたいのですか。あなたにどんな示唆がありますか」。皆はどれから答えればよいか分からず、だれも答えません。 二つ目は、正解が一つしかないことです。 形は自由に答える問いでも、リーダーの心にはすでに答えがあり、少し違う答えが出ると、そっと修正します。皆はすぐに、リーダーが聞きたい答えを当てることを学びます。 三つ目は、問いが大きすぎることです。 「苦しみをどう考えますか」。こうした問いには入口がありません。

ルカによる福音書7章の終わりの段落は、「問いを投げかけること」をまとまった形で見せています。

まず場面を見ましょう。あるパリサイ人がイエスを食事に招き、罪の女と呼ばれていた女性が入って来ました。彼女はイエスの後ろで泣き、涙で足をぬらし、自分の髪でぬぐい、足に接吻し、香油を塗りました(ルカ 7:37-38)。パリサイ人は「心の中で」言いました。声には出していません。「もしこの人が預言者であるなら、自分にさわっている女がだれだか、どんな女かわかるはずだ。それは罪の女なのだから。」(ルカ 7:39)

イエスの最初のことばは穏やかでした。

シモン、あなたに言うことがある。(ルカ 7:40)

イエスはシモンの名を呼び、これから語ることを丁寧に切り出しました。 シモンも「先生、おっしゃってください」と応じました。突然責め始めず、話題を表に出してから語ったのです。

続いてたとえを語ります。ある金貸しから借りた人が二人おり、一人は五百デナリ、もう一人は五十デナリを借りていました。二人に共通する状態に注目してください。どちらも返すことができませんでした。 金貸しは二人ともゆるしてやりました。そして、こう尋ねます。

このふたりのうちで、どちらが彼を多く愛するだろうか。(ルカ 7:42)

この問いがどれほど小さく、答えやすいかに注目してください。 「愛とは何だと思うか」とは尋ねず、「どちらか」とだけ尋ねました。シモンは「多くゆるしてもらったほうだと思います」と答え、イエスは「あなたの判断は正しい」と言いました(ルカ 7:43)。答えはシモン自身の口から出て、しかも肯定されました。

その後で初めて、シモンを目の前の一人へ向かわせる問いを投げかけます。

この女を見ないか。(ルカ 7:44)

それからイエスは、一つずつ比べます。わたしがあなたの家に入った時、あなたは足を洗う水をくれなかったが、この女は涙でわたしの足をぬらした。あなたは接吻しなかったが、この女は足に接吻してやまなかった。あなたは頭に油を塗らなかったが、この女は足に香油を塗った、と語ります(ルカ 7:44-46)。どれも具体的で、確かめられる事実です。 抽象的な非難ではありません。

最後に、イエスは女性へ「あなたの罪はゆるされた」と言い、「あなたの信仰があなたを救ったのです。安心して行きなさい」と語りました(ルカ 7:48、50)。

この段落の中心は、問い方の技術ではなく、赦しです。 二人の借り手はどちらも返すことができず、ゆるしは金貸しの側から与えられました。金額は霊性の順位ではありません。女性の愛は赦しを受けた後の応答であり、赦しを買う代価ではありません。 シモンの問題も、彼の罪が「少ない」ことではありません。自分も返せない負債を負っていること、また目の前におられる赦しの主を見ていなかったことです。

この段落から、良い問いの特徴をいくつか見ることができます。

一、話題を表に出します。 「あなたに言うことがある」。突然責めたり、陰で論じたりしません。 二、一度に一つだけ尋ねます。 「どちらが彼を多く愛するか」。選択肢は二つだけです。 三、相手自身に答えさせます。 イエスの問いの答えは、たとえの中にはっきりありました。シモン自身に、その判断を口にさせたのです。良い問いに方向がないわけではありません。みことばに沿って判断できるよう助け、リーダーの心にある答えを当てさせないのです。 四、正しく答えられた所から、まだ見えていない所へ進みます。 「あなたの判断は正しい」から「この女を見ないか」へ進みます。 五、具体的な事実に着地します。 水、接吻、油を取り上げ、漠然と評価しません。

グループを導く時には、この形に沿って三種類の問いを設計できます。

観察の問い:本文に何と書かれているかだけを尋ねます。「何節に、どの三つが書かれていますか」。 解釈の問い:著者の意図だけを尋ねます。「なぜ先にこれを言い、その後であれを言ったのでしょうか」。 適用の問い:一人の人の一つのことだけを尋ねます。これは、「聞いた後、実行する」の課で詳しく扱います。

さらに、実際的な注意が三つあります。

一問につき一つだけ尋ねること。疑問符が二つあるなら、二問に分けます。 三秒の間を残すこと。尋ねた直後に自分で話し始めないでください。沈黙は気まずい時間ではなく、だれかが考えている時間です。 「的外れな答え」をすぐ否定しないこと。まず「それは何節から分かりますか」と尋ね、一緒に本文へ戻って確かめます。本当に誤解があれば、その後リーダーが穏やかに説明します。

この課の着地点は、問いを小さく、具体的にし、それから少し待つことです。そうすれば、人はみことばに沿って自分で気づくことができます。そしてこの段落で最も気づくべきなのは、罪を赦す主と、その赦しを受けたゆえに主を愛した一人の女性です。

学びのポイント

1. パリサイ人は「心の中で」言いました。 声には出していません。イエスの問いかけは、そこから始まりました。

2. 「あなたに言うことがある」。 先に名を呼び、話を切り出し、相手が応じてから進みました。

3. 問いは小さなものでした。 「どちらが彼を多く愛するだろうか」。選択肢は二つで、答えやすい問いです。

4. 答えはシモン自身の口から出ました。 しかもイエスは「あなたの判断は正しい」と、まず肯定しました。

5. 「この女を見ないか」。 シモンが正しく答えた所から、まだ見えていない所へ進みました。

6. 比べたのは具体的な行動です。 水、接吻、油であり、抽象的な非難ではありません。

7. 最後の二つのことばは女性へ向けられました。 「あなたの罪はゆるされた」「あなたの信仰があなたを救ったのです」。この段落の着地点は彼女にあります。

分かち合い

オープニング(約10分)

ウォームアップ:だれかに尋ねられ、しばらく考えてからようやく答えられた問いがありますか。(面接、家庭、友人との会話など、何でもかまいません。初めて来た方も話せます。)

リーダーへのヒント:気軽に話します。その問いは短かった、と話す人が多いかもしれません。この問いが後の話への入口になります。

この課の振り返り(リーダーが読み上げます。約1分。予習していない方のためです。)

この課では、ルカによる福音書7章36~50節を読みます。あるパリサイ人がイエスを食事に招きました。その町で罪の女と呼ばれていた女性が香油の入った石膏のつぼを持って来て、イエスの後ろでその足もとに寄り、涙で足をぬらし、自分の髪でぬぐい、足に接吻して香油を塗りました。イエスを招いたパリサイ人はそれを見て、この人が預言者なら、自分に触れる女がどんな女か分かるはずだ、罪の女なのだから、と心の中で言いました。イエスは「シモン、あなたに言うことがある」と語り、シモンは「先生、おっしゃってください」と答えました。イエスは、ある金貸しから一人は五百デナリ、もう一人は五十デナリ借りていたが、二人とも返せなかったので、どちらもゆるしてやった、と語りました。どちらが彼を多く愛するかと尋ねると、シモンは、多くゆるしてもらった方だと思うと答え、イエスは、その判断は正しいと言いました。それから女性の方を向き、シモンに「この女を見ないか」と尋ねました。シモンは足を洗う水をくれなかったが、この女性は涙で足をぬらし、髪でぬぐいました。シモンは接吻しませんでしたが、この女性は足に接吻してやみませんでした。シモンは頭に油を塗りませんでしたが、この女性は足に香油を塗りました。イエスは女性へ、罪はゆるされた、あなたの信仰があなたを救った、安心して行きなさい、と語りました。今日は、良い問いを一つ尋ねることを一緒に考えます。

観察

1. 36~39節を読みます。女性はどのような行動をしましたか。招いた人は、どのように自分の考えを表しましたか。

リーダーへのヒント:泣き、涙で足をぬらし、髪の毛でぬぐい、足に接吻し、香油を塗りました。パリサイ人は「心の中で」言い、声には出しませんでした。

2. 40~43節を読みます。イエスの最初のことばは何ですか。投げかけた問いは何ですか。だれが答えましたか。

リーダーへのヒント:「シモン、あなたに言うことがある」。問いは、「このふたりのうちで、どちらが彼を多く愛するだろうか」です。シモン自身が答え、イエスは「あなたの判断は正しい」と言いました。

3. 44~50節を読みます。次にイエスはシモンへ何と尋ねましたか。どの三つのことを比べましたか。

リーダーへのヒント:「この女を見ないか」。比べたのは、足を洗う水、接吻、頭に塗る油です。最後に女性へ、「あなたの罪はゆるされた」「あなたの信仰があなたを救ったのです」と語りました。

解釈

4. 二人の借り手に共通していることは何ですか。金貸しのゆるしは、彼らと金貸しの関係をどう変えましたか。このたとえは、シモンが女性を見直すのにどう役立ちましたか。

リーダーへのヒント:この課の中心となる問いです。十分に時間を取ってください。二人とも返すことができませんでした。愛はゆるしを受けた後の応答であり、ゆるしを買う代価ではありません。シモンの問題は罪が少ないことではなく、自分の負債を見ていなかったことです。この点を話した後で、イエスの問いは一度に一つだけを尋ね、選択肢が明確でした。なぜこのような問いなら、人は本当に口を開きやすいかと尋ねてもよいでしょう。

5.(時間があれば扱う問い)イエスは先に「あなたに言うことがある」と言い、シモンは「おっしゃってください」と答えました。このやり取りには、どんな働きがありますか。

リーダーへのヒント:先に相手が応じる機会を置いたので、突然責める会話にはなりませんでした。人がまだ気づいていないことを指摘したい時、私たちは普段どのように話を始めるか話してもよいでしょう。

6. イエスは「あなたは独善的だ」と抽象的に責めず、水、接吻、油という具体的な事実を比べました。具体的であることは、なぜ力を持つのでしょうか。

リーダーへのヒント:具体的な事実は確かめられますが、抽象的な評価は相手を防御的にします。この段落の最後が、シモンの誤りではなく、「あなたの信仰があなたを救った」と女性へ語られたことにも注目できます。

適用

7. その場で行う練習:書きたい人は三分間で、マルコ8:14-21(「本文に何が書かれているかを皆で見る」の課の本文)について、観察の問いと解釈の問いを一つずつ書きます。どちらも一度に一つだけを尋ねます。(自分だけで持っていても、読み上げてもかまいません。聞くだけにしたい人は見学できます。)

リーダーへのヒント:何人かに読んでもらい、一問に二つの問いを詰め込んでいないか、問いの中に答えを書き込んでいないかを一緒に見ます。だれの問いが良いかは評価しません。

8. 今週、どの場面で「尋ねた後に三秒待つ」ことを練習したいですか。

リーダーへのヒント:できるだけ具体的にします。グループ、家庭、職場など、どこでもかまいません。尋ねた直後に自分で話し始めないようにします。続く行動リストもこれに沿っています。

祈りと実践

ともに祈る(約15分)

まず一人にルカ7:44-50をゆっくり読んでもらい、二分間静まります。各自、一人の人を思い浮かべます。自分がずっと「見ていなかった」人はいないでしょうか。祈りたい人は、一、二文で祈ります。声に出したくない人は、静かに祈ることも祈りです。初めて来た方は静かに聞いているだけでよく、祈ることも信仰を表明することもまったく求められません。最後にリーダーがまとめ、グループで聖書の学びを導く兄弟姉妹のために祈ります。祈りの課題はグループ内にとどめ、慎重に扱うべきことはAppにもグループチャットにも書きません。通常、フォローする時はまず本人の同意を得てから、必要な一、二文だけを個人的に記録します。ただし、子どもや自分で自分を守れない人の安全、または差し迫った自傷・他害の危険に関わる時は、本人の同意を前提とせず、直ちに地域の救急、公安/警察、または適切な保護機関へ連絡します。

このように祈り始められます(祈りの方向):

主イエスよ、あなたはシモンに「あなたに言うことがある」と語り、小さな問いを投げかけて、彼自身に答えさせてから、「この女を見ないか」と尋ねられました。私たちは、問いを大きくし、多くを詰め込み、心の中にはすでに答えを用意してしまうことを認めます。あなたのように、問いを少し小さくし、少し長く待ち、兄弟姉妹が自分で気づけるようにしてください。また、あなたのように、目の前の一人を本当に見ることができるようにしてください。あなたの御名によって祈ります。アーメン。

今週の行動リスト(約5分)

祈った後、下から一つを選んで今週行います。一つで十分です。すぐに選べなくてもかまいません。

記録も報告も必要ありません。よければ、次に集まった時に話せます。できなかった時は、妨げになったことを祈りの中で神に持って行きましょう。

続けて話すなら

「一人ひとりが参加できるようにする」の課(コリント人への第一の手紙 14:26-33)、または「著者の意図を理解するよう助ける」の課(使徒行伝 8:26-35)を選べます。

リーダーガイド