人生のさまざまな境遇, 第23課. 読む 使徒行伝 27:13-44. 地震、洪水、感染症、事故によって、一夜のうちに普段の生活がすべて崩れる
中心聖句:使徒行伝 27:13-44
船は海上を十四日間漂流しました。積荷を捨て、船具も捨て、何日も太陽も星も見えず、「助かる最後の望みもなくなった」のです。その船でパウロがしたことは、とても具体的でした。状況を明らかにし、皆に食事を勧め、逃げようとする水夫たちを止めました。災害の中の信仰は、多くの場合このような姿を取ります。
地震、洪水、感染症、事故。一夜のうちに、いつもの日常がすべて崩れることがあります。 家族を失う人、家を失う人、体にも心にも傷が残る人がいます。災害の後には、さらに長い日々が続きます。片づけ、届け出、順番待ち、再建、そして夜になると何度もよみがえる光景です。
使徒行伝27章は、聖書の中でも特に詳しく記された海難事故です。パウロはローマへ護送される途中、地中海で暴風に遭いました。
初めに南風が静かに吹き、彼らは「この時とばかりに」いかりを上げました(使徒行伝 27:13)。しかし間もなく暴風が吹きおろし、船は風に逆らえず、吹き流されるままになりました(使徒行伝 27:14-15)。安全と思えた判断も、突然の変化に覆されることがあります。 災害が起きた時は、まず人を助け、目の前の状況に対処し、誰のせいかを急いで追及しません。
その後の数日、彼らは次々に物を捨てました。まず積荷を捨て、さらに自分たちの手で船具まで投げ捨てました(使徒行伝 27:18-19)。そして、こうあります。
幾日ものあいだ、太陽も星も見えず、暴風は激しく吹きすさぶので、わたしたちの助かる最後の望みもなくなった。(使徒行伝 27:20)
「助かる最後の望みもなくなった」。 同じ船に乗っていたルカが、この言葉をそのまま記しました。聖書は、災害の間ずっと信仰に満ちていたかのようには書きません。
皆が長い間食事を取っていなかった時、パウロは彼らの中に立ちました(使徒行伝 27:21)。彼の言葉にはいくつかの段階があります。それぞれから学ぶことがあります。
第一に、彼はまず事実を語り、「わたしの忠告を聞きいれて、クレテから出なかったら、このような危害や損失を被らなくてすんだはずであった」とも言いました。 この嵐には人の責任がなかったかのように装いませんでした(使徒行伝 27:21)。
第二に、現実の希望と現実の損失を同時に示しました。 「舟が失われるだけで、あなたがたの中で生命を失うものは、ひとりもいないであろう」(使徒行伝 27:22)。船は守れなくても、人は守られます。 すべてが以前どおりになるとは約束しませんでした。
第三に、その希望の根拠を語りました。 前の晩、神の御使がそばに立ち、恐れるなと語ったのです(使徒行伝 27:23-24)。そこで彼は言いました。
だから、皆さん、元気を出しなさい。万事はわたしに告げられたとおりに成って行くと、わたしは、神かけて信じている。(使徒行伝 27:25)
第四に、とても現実的なことを扱いました。 水夫たちが小舟を下ろして逃げようとすると、パウロは百卒長と兵卒たちに、「あの人たちが、舟に残っていなければ、あなたがたは助からない」と言いました(使徒行伝 27:31)。神の約束があっても、守るべきことを守らなくてよいわけではありません。
第五に、皆に食事を勧めました。 「いま食事を取ることをお勧めする。それが、あなたがたを救うことになる」(使徒行伝 27:34)。彼はパンを取り、皆の前で神に感謝し、裂いて食べ始めました。皆も元気を取り戻し、食事をしました(使徒行伝 27:35-36)。神の言葉で励ますだけでなく、皆の前で感謝し、パンを裂き、自分から食べました。 船にいた二百七十六人の疲れ切った人々は、落ち着きを取り戻しました。
最後に船は浅瀬に乗り上げ、壊れました。兵卒たちは囚人を殺そうとしましたが、百卒長はパウロを救うために止めました。泳げる者は泳ぎ、ほかの者は板や船の破片につかまりました。「こうして、全部の者が上陸して救われたのであった」(使徒行伝 27:44)。人は皆生き残り、船は失われました。
この課では、いくつかのことを心に留めます。
第一に、災害の中の信仰は、まず恐れなくなることを人に求めません。 恐れと混乱の中でも、目の前でできること、すべきことを一歩ずつ行う。そのような姿を取ることが多いのです。パウロがしたことは、すべて具体的でした。状況を説明し、逃げようとする人を止め、食事を勧めました。
第二に、神が約束していないことを約束しないことです。 あの時、神は誰も命を失わないとはっきり語られました。私たちには同じ啓示がないので、神に代わって被災した人に「絶対に大丈夫」と言ってはいけません。 「私はここにいます。一緒に方法を考えましょう。神は離れておられません」とは言えます。
第三に、まず救うべきものを救い、捨てるべきものを捨てることです。 彼らは積荷と船具を捨てました。災害の中では、優先順位をつけることが大切です。物より先に、人を守ります。
第四に、食事をし、休み、信頼できる人にそばにいてもらうことです。 これは、心の傷を負った後の最も基本的で大切なケアです。
第五に、災害後の心の反応は珍しいものではありません。 眠れない、悪夢を見る、物音に飛び上がる、何も感じない、生き残ったことへの罪悪感がある。このような反応の多くは、次第に和らいでいきます。反応が強く基本的な生活に影響している時や、長く続いて改善しない時は、早めに医師や心理の専門家へ連絡してください。 自分や他人を今すぐ傷つける危険がある時は、その場で助けを求めます。
詩篇には、覚えておきたい言葉があります。
神はわれらの避け所また力である。悩める時のいと近き助けである。(詩篇 46:1)
続く二節は、地が変わり、山が海の真ん中に移り、水が鳴りとどろき、泡立っても恐れないと語ります(詩篇 46:2-3)。地が変わらないとは言いません。地が変わる時にも、私たちには避け所があると語るのです。
1. 始まりは、「これなら大丈夫だろう」という判断でした。 南風が静かに吹き、彼らはこの時とばかりに出航しました。多くの災害は、このように始まります。
2. 「わたしたちの助かる最後の望みもなくなった」(20節)。 同船していたルカが、絶望をありのまま記しました。聖書は、最後まで信仰に満ちているよう人に求めません。
3. パウロが示す希望には損失も含まれています。 人は守られ、船は守られません。すべてが以前どおりになると約束しないからこそ、その慰めは信頼できます。
4. 約束があっても、水夫たちを船に残す必要がありました(31節)。 信頼は、必要な対策を取り消しません。今日も同じです。現地の公的機関の指示に従って避難し、補強し、物資を備えます。感染症の危険がある時は、医療従事者の助言に従い、予防策や必要な予防接種を受けます。
5. 彼は食事を勧め、自分から食べました。 疲れ切った二百人以上の人々は、一人が先に食べ始めたことで元気づきました。災害の中では、食べることも信仰に関わることです。
初めのお願い(リーダーが読み上げます)
グループで話したことは、外に持ち出しません。ただし、例外があります。現在進行中の被害、子どもや弱い立場の人の安全、あるいは自分や他人を今すぐ傷つける危険が関わる時、リーダーは完全な秘密を約束できません。通常は、まずできる限り本人と相談し、実際に助けられる人に必要な情報だけを伝えます。子ども、自分を守れない人、または差し迫った危険が関わる場合は、本人の同意を条件とせず、状況に応じて牧師、資格を持つ専門家、現地の警察、救急・医療機関に連絡します。差し迫った危険がある時は、その場で助けを求め、本人を一人にしないでください。
ウォームアップ:家に非常用の物を備えていますか。(懐中電灯、常備薬、飲料水、身分証明書のコピーなど、何でもかまいません。初めて来た方も話せます。)
リーダーへのヒント:軽く、一人ひと言、ふた言で十分です。つらい記憶には触れず、今日の着地点である「備えるべきことを先に備える」へ直接つなげられます。
課の振り返り(リーダーが読み上げます。約1分。予習していない方のためです。)
この課では使徒行伝27章13~44節を読みます。パウロはローマへ護送される途中、地中海で危険に遭いました。初めに南風が静かに吹き、皆はこの時とばかりにいかりを上げましたが、間もなく暴風が吹きおろし、船は風に逆らえず、吹き流されました。暴風にひどく悩まされ、次の日には積荷を捨て、三日目には自分たちの手で船具まで投げ捨てました。何日も太陽も星も見えず、暴風が激しく吹きすさび、助かる最後の望みもなくなりました。皆が長い間食事を取らずにいると、パウロは立ち上がり、忠告を聞いてクレテを出なければこの危害と損失を避けられたはずだが、今は元気を出してほしい、船が失われるだけで、命を失う者は一人もいない、と言いました。彼が属し、仕える神の御使が昨夜そばに立ち、恐れずカイザルの前に立つように、同船者は皆神から与えられていると告げたのです。その後、水夫たちが小舟を下ろして逃げようとすると、パウロは百卒長と兵卒に、彼らが船に残らなければ助からないと言い、兵卒たちは小舟の綱を切りました。夜明けが近づくと、パウロは、食事は命を救うために必要だと皆に勧めました。そして皆の前でパンを取り、神に感謝し、裂いて食べ始めました。皆も元気づいて食事をしました。船には二百七十六人いました。最後に船は浅瀬に乗り上げ、船尾が波で壊れました。兵卒たちは囚人を殺そうとしましたが、百卒長がパウロを救おうとして止めました。泳げる者は泳ぎ、ほかの者は板や船の破片で岸へ向かい、全員が上陸して救われました。あわせて、神は私たちの避け所、力、悩める時の近い助けだという詩篇46篇を読みます。今日は、突然の災害について一緒に考えます。
1. 13-20節を読みます。出来事はどのように始まりましたか。彼らは何をどの順に捨てましたか。20節は何と語っていますか。
リーダーへのヒント:南風が静かに吹き、皆はこの時とばかりに出航しました。まず積荷を、次に船具を捨てました。20節では、何日も太陽も星も見えず、助かる最後の望みもなくなったとあります。
2. 21-32節を読みます。パウロは皆に何を語りましたか。また、どんな現実的な行動をしましたか。
リーダーへのヒント:状況を説明し、命を失う者は一人もおらず、船だけが失われると語り、神の御使の言葉を伝えました。現実的な行動として、逃げようとする水夫たちを止め、彼らが船に残らなければ助からないと言いました。
3. 33-44節を読みます。パウロは皆に何を勧め、自分から何をしましたか。最後にどうなりましたか。
リーダーへのヒント:命を救うために食事を取るよう勧め、自分からパンを取り、感謝し、裂いて食べました。皆も元気づきました。最後に船は壊れ、二百七十六人全員が上陸しました。
4. パウロは状況を説明し、水夫たちを止め、食事を勧めました。このような具体的な行動は、神への信頼をどのように表していましたか。
リーダーへのヒント:この課の中心となる問いなので、十分に時間を取ります。信仰は、まず恐れなくなることを要求しません。目の前でできることに現れます。緊急事態の中で、祈り、判断、行動はどのように共に働けるかを話してもよいでしょう。
5.(時間があれば扱う問い)パウロは、命を失う者は一人もおらず、船だけが失われると言いました。このような慰めが信頼できるのは、なぜでしょうか。
リーダーへのヒント:損失を認めているからです。私たちにはあの時のような啓示がないので、被災した人に「絶対に大丈夫」と約束してはいけません。 本当に人を慰める言葉はどのようなものか、話してもよいでしょう。
6. 神はすでに誰も命を失わないと約束されました。それでもパウロが水夫たちを止め、食事を勧めたのはなぜですか。
リーダーへのヒント:信頼は、必要な対策を取り消しません。今なら、避難すべき時に避難し、補強すべき時に補強し、必要な物資を先に備えることです。
7. あなたが経験した、見た、または公の報道で知った災害の中で、どのような助けが実際に役立っていましたか。(自分の経験を話さなくてもかまいません。初めて来た方も話せます。)
リーダーへのヒント:温かい食事、泊まれる場所、手続きを手伝う人、黙ってそばにいる人などが挙げられるでしょう。大きな心の傷を経験した人がいても、詳しい話を求めず、集まりの後で個別に気遣います。
8. 今週、何を一つ備えたり、実行したりしたいですか。
リーダーへのヒント:できるだけ具体的にします。家庭に非常用品と身分証明書のコピーを備える。家族で連絡方法と集合場所を決める。リーダーが個別に、緊急時の助け合いの連絡を望む人を確認する。ただし名簿はグループチャットで公開しない。最近被災した地域へ一度献金するか、祈る。続く行動リストにつなげます。
一人のメンバーに使徒行伝27:20-25をゆっくり読んでもらい、続けて詩篇46:1-3を読んでもらいます。皆で二分間静まり、被災している一つの場所、または事故を経験した一人の人のために心の中で祈ります。その後、希望する人は短くひと言、ふた言祈ります。神が命を守り、食事と住まいを備えてくださるように、また救援や再建に携わる人のために祈ります。声に出したくない人は、静かに祈ることも祈りです。初めて来た方は静かに聞くだけでよく、祈ることも信仰の立場を表明することも求めません。最後にリーダーがまとめ、グループの人々のために感謝し、執り成します。祈りの課題はグループ内にとどめます。慎重に扱うべきことはアプリにもグループチャットにも書きません。後のケアが必要な時は、通常、本人の同意を得てから必要な一、二点だけを非公開で記録します。子どもや自分を守れない人の安全、または自分や他人を今すぐ傷つける危険が関わる時は、本人の同意を条件とせず、現地の救急、警察、適切な保護機関へただちに連絡します。
次のように始めてもよいでしょう(祈りの方向):
神よ、あなたは私たちの避け所、また力、悩める時のいと近き助けです。地が揺れる時、私たちは自分がどれほど小さいかを知ります。被災している人々を守ってください。飲み水と食事、眠る場所を与えてください。救援に携わる人々も守ってください。家族を失った人の心を癒やし、夜に眠れず、目を閉じるとあの光景がよみがえる人をも癒やしてください。軽い言葉で済ませず、手を差し伸べる者としてください。食事を届け、一つの用事を手伝い、しばらくそばに座る者としてください。イエスの御名によって祈ります。アーメン。
祈った後、一人ひとりが次の中から一つを選び、今週行います。一つで十分です。すぐに選べなくてもかまいません。
記録も報告も必要ありません。よければ、次の集まりで話すことができます。できなかった時は、妨げになったことを祈りに持って行きましょう。
「どん底に落ち、皆に背を向けられた」(サムエル記上 22:1-5)か、「突然、重い病と診断された」(列王紀下 20:1-11)を選べます。