イエスが教えられた祈り · スモールグループ

聖霊によって祈る:神の臨在と導きを経験する, 第8課. 読む マタイによる福音書 6:5-15. 祈りがいつも自分の必要ばかりになる。主の祈りを暗唱できても、祈り方を教えていることまで考えたことがない

中心聖句:マタイによる福音書 6:5-15

主の祈りは暗唱するための言葉であるだけでなく、主イエスが教えられた祈りの形です。まず「天にいますわれらの父よ」と呼びかけ、御名、御国、みこころを求め、それから今日の食物、私たちの負債、試みを父に委ねます。

はじめに

多くの人が初めて祈りを学ぶ時、主の祈りを覚えます。集会の最後に皆で唱え、よく覚えているため、口では祈りながら心では別のことを考える時もあります。一方、自分で祈る時には、仕事、健康、子ども、お金など、いつも同じいくつかのことを繰り返し、語り終えるとアーメンと言います。主の祈りは暗唱できても、主イエスがこの言葉によって祈り方を教えておられるとは、あまり考えません。

ルカは、弟子たちが祈っておられるイエスを見て、「主よ、ヨハネがその弟子たちに教えたように、わたしたちにも祈ることを教えてください」(ルカ 11:1)と求めたことを記します。祈りは学ぶことができ、イエスから学ぶものです。マタイによる福音書6章で、主イエスは初めに、まねてはならない二つの祈りを示しました。一つは、人に見せるための祈りです(マタイ 6:5)。祈りが人へ見せる演技になっています。もう一つは、くどくどと祈り、言葉が多く長いほど神が聞いてくださると思う祈りです(マタイ 6:7)。主イエスはこう語られました。

だから、彼らのまねをするな。あなたがたの父なる神は、求めない先から、あなたがたに必要なものはご存じなのである。(マタイ 6:8)

父がすでにご存じなら、祈りは新しい情報を報告することでも、多くの言葉で神を説得することでもありません。子どもが父の前に来ることです。それから主イエスは、「だから、あなたがたはこう祈りなさい」と語られます。

天にいますわれらの父よ、御名があがめられますように。御国がきますように。みこころが天に行われるとおり、地にも行われますように。わたしたちの日ごとの食物を、きょうもお与えください。わたしたちに負債のある者をゆるしましたように、わたしたちの負債をもおゆるしください。わたしたちを試みに会わせないで、悪しき者からお救いください。(マタイ 6:9-13)

この祈りは短いものですが、明確な順序があります。初めは「天にいますわれらの父よ」という呼びかけです。父であるため、近づけます。天にいますため、すべての上におられる主です。そして「われらの」父です。一人で戸を閉じて祈る時も、すべての兄弟姉妹とともに父の前へ出ます。

次の三つは、すべて神についての願いです。御名があがめられること、御国が来ること、みこころが地に行われることです。その後に、私たちについての願いが続きます。今日の食物、負債の赦し、試みの中での守りです。主イエスは、自分の必要を願ってはならないとは教えませんでした。「きょう」の食物まで願えます。ただし、まず父がどなたで、何を成し遂げようとしておられるかを仰ぎ、それから自分の必要を委ねます。同じ章には、「まず神の国と神の義とを求めなさい。そうすれば、これらのものは、すべて添えて与えられるであろう」(マタイ 6:33)ともあります。

「わたしたちの日ごとの食物を、きょうもお与えください」は、今日必要なものを求める祈りです。荒野のイスラエルがマナを「日々の分を日ごとに集め」たことに似ています(出エジプト 16:4)。「わたしたちの負債をもおゆるしください」は、罪を神への負債として見ています。主の祈りの後で、主イエスはこの願いだけをさらに説明されました。

もしも、あなたがたが、人々のあやまちをゆるすならば、あなたがたの天の父も、あなたがたをゆるして下さるであろう。もし人をゆるさないならば、あなたがたの父も、あなたがたのあやまちをゆるして下さらないであろう。(マタイ 6:14-15)

これは、人を赦せば神から赦しを買えるという意味ではありません。自分がどれほど大きく赦されたかを本当に知る人は、ほかの人の負債をいつまでも握りしめ続けることはできない、ということです。後に主イエスが語られたたとえで、主人は巨額の負債を赦された僕に、「わたしがあわれんでやったように、あの仲間をあわれんでやるべきではなかったか」(マタイ 18:33)と問いかけました。

ですから、主の祈りは暗唱してもよく、一文ずつゆっくり祈ってもよいのです。一文を唱えて立ち止まり、自分のことをその中へ入れます。「御国がきますように」と祈る時、家庭や職場のどこで神に王となっていただきたいかを考えます。「日ごとの食物」と祈る時、今月の家賃や子どもの学費を語ります。「負債をおゆるしください」と祈る時、まだ赦せずにいる人を思い起こします。このように主の祈りは、私たちの祈りの骨組みとなり、「自分」だけの祈りから、「私たち」と「父」へ目を向けさせます。

学びのポイント

1. 「自分のへや」。 6:6の語は、物置のような小部屋を指し、家の中で戸を閉じられる場所です。必ず特定の部屋へ入ることが中心ではなく、祈りを人に見せるためにしないことが中心です。「隠れた事を見ておられるあなたの父は、報いてくださる」(マタイ 6:6)とあります。

2. 全体が「私たち」です。 われらの父、わたしたちの日ごとの食物、わたしたちの負債、わたしたちを試みに会わせないで、悪しき者からお救いください。一人で祈る時も神の家族の中で祈り、自分のためにも、兄弟姉妹のためにも願います。

3. 「きょう」と「日々」。 マタイは「きょうもお与えください」、ルカは「日々お与えください」(ルカ 11:3)と記します。「日ごとの」と訳されるギリシア語は非常に珍しく、正確な意味には議論があります。「今日必要な」「来る日に必要な」「生活を支えるために必要な」などの理解があります。いずれにしても、この願いは、日々、天の父の備えを仰ぐよう教えます。

4. 「負債」と「罪」。 マタイは「わたしたちの負債」、ルカは「わたしたちの罪」(ルカ 11:4)と記します。ユダヤ人はしばしば罪を神への負債として捉えました。主イエスが語った一万タラントの負債を持つ僕のたとえも、「負債」によって罪を表しています(マタイ 18:23-35)。

5. 「わたしたちを試みに会わせないで」。 神が人を罪へ誘惑することはありません。「神は悪の誘惑に陥るようなかたではなく、また自ら進んで人を誘惑することもなさらない」(ヤコブ 1:13)からです。「試み」という語は、試練も意味します。この祈りは、試練や誘惑へ陥らせず、そのただ中でも守り、悪に打ち負かされないよう求める祈りと理解できます。「悪しき者」は、悪魔を指すとも理解できます。

分かち合い

オープニング(約10分)

初めに一言(リーダーが読み上げます)

グループで分かち合ったことを、外で言い広めることはしません。ただし例外があります。現在進行中の危害、子どもや自分で身を守れない人の安全、または誰かが今すぐ自分やほかの人を傷つける危険に関わる場合、リーダーは完全な守秘を約束できません。通常はまず本人とできる限り相談し、実際に助けられる人だけに必要な情報を伝えます。子どもや自分で身を守れない人に関わる場合、または差し迫った危険がある場合は、本人の同意を得ることを前提とせず、状況に応じて牧師、資格を持つ専門家、地域の公安・警察、救急・医療機関に連絡します。差し迫った危険があればその場で助けを求め、本人を一人にしないでください。

ウォームアップ:初めて主の祈りを学んだのは、いつですか。その時のことを覚えていますか。(初めて来た方は、この祈りを聞いた感想を話せます。)

リーダーへのヒント:一、二言で十分です。評価はしません。子どもの頃、日曜学校で覚えた人も、信仰を持った後、集会で学んだ人もいるでしょう。どちらもよいでしょう。

課の振り返り(リーダーが読み上げます。約1分。予習していない方のためです。)

この課では、マタイによる福音書6章5~15節を読みます。主イエスは、人に見せるために祈る偽善者のようにせず、異邦人のようにくどくどと祈り、言葉が多ければ聞き入れられると思ってはならない、と語られました。私たちが求める前から、天の父は必要をご存じだからです。それから弟子たちにこう祈るよう教えられました。天にいますわれらの父よ、御名があがめられ、御国が来て、みこころが天に行われるとおり地にも行われますように。日ごとの食物をきょうも与え、私たちの負債を赦し、試みに会わせず、悪しき者から救ってください。最後にイエスは、赦すことを特に取り上げられました。関連する箇所はルカによる福音書11章1~4節です。弟子たちは主に、祈ることを教えてほしいと求めました。今日は、主の祈りがどのように祈りを教えるか、一緒に考えます。

観察

1. マタイ 6:5-8を読みます。主イエスは、どの二つの祈りをまねてはならないと言われましたか。その理由は何ですか。

リーダーへのヒント:一つは偽善者のように人に見せるために祈ること、もう一つは異邦人のようにくどくど祈り、言葉が多ければ聞き入れられると思うことです。理由は、父が隠れたことをご覧になり、私たちが求める前から必要をご存じだからです。

2. 9-13節を読みます。この祈りの中で、神について願っているのはどの文ですか。私たちについて願っているのはどの文ですか。どのような順序ですか。

リーダーへのヒント:初めに「天にいますわれらの父よ」と呼びかけます。次に神についての三つ、御名、御国、みこころを願います。それから私たちについて、食物、負債、試みと悪しき者について願います。一文ずつ皆で読み、分けてみてもよいでしょう。

3. 14-15節とルカ 11:1-4を読みます。主イエスは祈りの後、どのことを特に取り上げられましたか。ルカの記録にはどのような違いがありますか。

リーダーへのヒント:赦しを特に取り上げられました。ルカでは、弟子たちが先に、祈ることを教えてほしいと願います。「きょう」は「日々」、「負債」は「罪」と記されています。

解釈

4. 主の祈りは、なぜ先に神の御名、御国、みこころを求め、その後で私たちの必要を求めるのでしょうか。自分の必要ばかりを繰り返し祈ることについて、何を教えますか。

リーダーへのヒント:この課の中心となる問いの一つなので、十分に時間を取ります。この順序は、自分の必要を願ってはならないという意味ではありません。食物、罪、試みも祈りに含まれています。まず父がどなたで、何を成し遂げようとしておられるかを仰ぐと、自分の必要も正しい位置に置かれます(マタイ 6:33)。繰り返される「私たち」にも注目できます。祈りは自分だけのためではありません。

5. 「わたしたちに負債のある者をゆるしましたように、わたしたちの負債をもおゆるしください」と14-15節は、先に人を赦して、神の赦しと交換するという意味でしょうか。

リーダーへのヒント:この課の中心となる問いです。赦しは、神の赦しを買うためのものではありません。赦された人には、ほかの人を赦そうとする実が少しずつ生まれます(マタイ 18:23-35)。赦しは長い道のりとなることがあり、祈りながら歩めます。赦しは傷を否定することでも、正義、責任、必要な安全の境界を取り消すことでもありません。

6.(時間があれば扱う問い)「あなたがたの父なる神は、求めない先から、あなたがたに必要なものはご存じなのである。」父がすでにご存じなら、なぜ願う必要がありますか。

リーダーへのヒント:祈りは神への情報提供ではなく、子どもが父に信頼して委ねることです。主イエスご自身もたびたび祈られました。天の父は求める者に良いものを与えると語られ(マタイ 7:7-11)、ルカでは「求めて来る者に聖霊を下さ」ると記されています(ルカ 11:13)。

適用

7. あなたの祈りに最もよく出てくるのは、どのようなことですか。主の祈りの順序に沿って祈るなら、何が変わるでしょうか。

リーダーへのヒント:誰の祈りが「霊的」かを評価しません。自分の必要を願うことも主の祈りに含まれています。自分の祈りに、御名、御国、みこころを願う部分があるか、考えてもらえます。

8. 主の祈りの中で、今、心から語るのが最も難しい一文はどれですか。なぜですか。

リーダーへのヒント:「みこころが地にも行われますように」や「わたしたちに負債のある者をゆるしましたように」と感じる人が多いでしょう。一言だけでよく、詳しい事情を追いません。この後の祈りで、その一文を祈ります。

祈りと実践

ともに祈る(約15分)

この課では、主の祈りを一緒にゆっくり祈ります。リーダーが一文を読み、少し待ちます。希望する人は、その一文に自分のことを入れて、一文で祈ります。その後、次の一文へ進みます。たとえば、「御国がきますように」と読んだ後、「私の職場で王となってください」と祈れます。「日ごとの食物を、きょうもお与えください」と読んだ後、「今月の家賃を備えてください」と祈れます。声に出したくない人は、静かに祈ることも祈りです。初めて来た方は祈る必要がありません。最後に皆で、主の祈り全体を唱えます。祈りの課題はグループ内にとどめます。慎重に扱うべきことはアプリにもグループチャットにも書きません。通常、後のケアにはまず本人の同意を得て、必要な一、二点だけを非公開で記録します。子どもや自分で身を守れない人の安全、または自傷・他害の差し迫った危険に関わる場合は、本人の同意を得ることを前提とせず、直ちに地域の救急、公安・警察、または適切な保護機関に連絡してください。

次のように始めてもよいでしょう(祈りの方向):

天にいますわれらの父よ、あなたを父と呼べることを感謝します。私たちの家庭、職場、町で、御名があがめられますように。御国が来て、みこころが私たちのうちにも行われますように。今日必要なものを与えてください。私たちの負債を赦し、私たちが握りしめている人の負債を手放せるよう助けてください。試みの中で守り、悪しき者から救ってください。イエスの御名によって祈ります。アーメン。

今週の行動リスト(約5分)

祈った後、一人ひとりが次の中から一つを選び、今週行います。一つで十分です。すぐに選べなくてもかまいません。

記録も報告も必要ありません。よければ、次の集まりで話すことができます。できなかった時は、妨げになったことを祈りに持って行きましょう。

さらに話したい方へ

「感謝の祈り」の課(ルカ 17:11-19)か、「罪を告白する祈り」の課(ダニエル 9:1-19)を選べます。

リーダーガイド